風のジグール

の生い立ちを知るものは少ない。

体技を磨き上げて、武器と化した身体が敵を砕き、
切り札として使う投げナイフは冷酷なまでに正確な軌跡を描いて敵の息の根を止める。
禁欲的な修行無しには、この技を身につける事は叶わなかったに相違無い。
は洞窟や遺跡に眠る財宝や金銀を得るべく放浪する職業的冒険者であった。

不心得な冒険者の行動で古いから大挙して屍鬼が溢れ、
取り囲まれて窮地に陥った小規模な城砦都市の様子を
は峠の大岩の上で興味無さそうに眺めていた。

は感情を押し殺す事に専心して来た。
愚かな人間の運命等には関わりたくなかった。
の遺跡探索は、の生命を繋ぐ為の仕事であって、の目的ではなかった。
は己を一個の武器に鍛え上げる事に静かな情熱を注いで居るようだった。
その道に益せぬ行為には力を割かれたくなかったのだ。

峠を下った宿場で、は不思議な光景に出会う。
僅かな隙間を縫って、屍鬼に包囲された町から脱出した少年が、
宿場を行く冒険者たちに助勢を呼びかけているのだ。
その城塞都市には、しかし冒険者の興味を惹く宝も金銀も存在しなかった。
ジグールの求道にも何ら関係が無かった。
少年の懇願に応える者の有る道理がない。

その男の声は、ジグールの内部に何事かの深い振動を呼び起こした。
思わずジグール声の主を視線で探した。
その大きな男は、僧兵の様にも、戦士のようにも見えた。
良く通る声が、少年に話しかけている。
城塞都市を救いに行こうと言っている。

ジグールの中に、言い知れない不安が湧き起こった。
自分の道に何か齟齬が有る様な気がしたのだ。
それは指先に刺さった微小な棘のような微かな痛覚だったが、
ジグールに取っては驚きを持って立ち尽くしたくなるような感覚であった。
それはあの大男が、少年を見詰める眼射しが、もたらしたものである事が
ジグールには判った。
に取って見過ごせなかったのは、己の指先の微小な棘が何なのか、判らずにおく事だった。
あの男について行けば、それが判るような気が、
根拠もなくふっとジグールの胸に漣を立てた。

大男の広い背中に、声を掛けていた。
声を掛けた自分に幾分心地良い驚きを感じた。
「一緒に行こう。」
大男が振り返る。
「足手纏いにはならんよ。」
大男が微笑んだ。
「俺はジグール。いつ立つ?」
「今からだ。」と、大男が答えた。
少年の顔が輝いた。
「心強い申し出に感謝する。俺はリューグハルトだ。」

運命が二人を出逢わせた。

jiguel1.jpg



前へ | 目次 | 次へ
posted by リューグハルト at 2006年01月24日05:21 | Comment(6) | TrackBack(0) | 外伝
この記事へのコメント
こ、こ、これは!!!!
城塞都市救助!!
うあー大変な事になりましたね♪♪
ジグールが先にリューグと逢うんや(*´ω`*)
動き出しちゃいました(★´艸`)
是非続きを。。。

ジグールのアップの顔を想像してたけど、
思ったとおりクールアイの男前でした(ノ´∀`*)
Posted by 美那 at 2006年01月24日 05:40
おおおおおおw
かっこいいw
Posted by GF at 2006年01月24日 15:54
連投スマソ
絵はもちかっこいいですが文の表現も
かなりうまくないですか?
尊敬(*・∀・)

俺のブログの方
   もすこしで小説完結です(^^;)
Posted by GF at 2006年01月24日 15:58
GFさん>
もうすぐGFさんの小説完結ですかヽ(・∀・)ノ ワチョーイ♪
ラストスパート がんばです♪♪
読ませていただきます(*´ω`*)

リューグの絵&お話が上手いのはおりがみつきなので・・・
期待大ですよぉぉぉぉ(*´д`*)
Posted by 美那 at 2006年01月24日 18:13
しぶくてかっこいいですねえ(^^)
公式の青年武道家もかっこいいですが、
ヒゲのダンディな武道家も素敵です。
あのグラフィックから、ここまでイメージを広げられるとは、尊敬してしまいます。
Posted by アイフィール at 2006年01月25日 18:59
アイフィールさん>
そうですね(*´ω`*)
めちゃめちゃ想像力豊かなので、リューグならではだと思います(・∀・)ノ
ジグール、めちゃ渋いっすよね♪♪
そういう人がいると、ウチはめっちゃ笑わせたくなります┏(I:)

(ノε`)ンププ
Posted by 美那 at 2006年01月31日 01:46
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック